ファンタジー小説銀の騎士外伝

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店の扉をあけると、どこから現われたものか、一匹の猫が滑り込んできた。
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おばさんの呟き

-呟き前編-9/18

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店の扉をあけると、どこから現われたものか、一匹の猫が滑り込んできた。

少し距離をおいて、媚びたような目でフレアを見上げている。

「外は寒いからね、いいよ、お入り」

猫はフレアに決して近付き過ぎない距離を保って、のそりと奥へ入って来た。フレアが店に置いてあった板を割れた窓に打ち付けるのを、猫は店の奥から眺めている。それが済むとフレアは猫に構わず、さっきいれようとして中断された暖かいお茶を、ポットに注いだ。ふうっと大きく息を吐いてどっかと椅子に腰掛ける。

「あの看板も直さなけりゃならないね」

誰にともなく言った。あるいは猫に言ったのかもしれない。

自分専用の古びたカップに茶を注いで、両手を温めるように添えると、急に生き返ったような気持ちになる。

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