フレアの肩が大きく震え出し、涙が止めどなく溢れた。しばらくの間、フレアは感情を一気に吐き出したかのように、激しく泣いていたが、やがてそれも静かになり、店の中は静寂に包まれた。
猫は相変わらずそっぽをむいて丸くなっている。
「ごめんよ、話がそれちまったね。とにかくさ、あたしの子供はうまれる前に死んじまってね、それからあたしは二度と子供ができなかった。フーチにはあたしの不注意だって随分責められてね
それからさ、二人の仲はぎくしゃくしだして、フーチは仕事をしなくなって酒浸り。
あたしも一人になりたくて毎日店をがんばった。
悲しくなかったかって? 悲しかったに決まってるじゃないか。でもね、どんなに辛くたって誰も助けちゃくれないのさ。