フレアは諦めてもう一度ショールの胸元をきつくあわせた。板で塞いだとは言え、割れた窓のせいで寒さはひどくなっていた。
「あの子から赤子を取り上げて自分のものにしたかった。心底そう思った。だけどあの子を殺してまで子供を取り上げようなんて、考えてた訳じゃない。本当さ、信じないかもしれないけどそこまで考えちゃいなかった。うらやましかっただけなんだ。なのに神様はこんなことばっかり願いを叶えて下さるんだ。あたしが望んだせいで妹が死んだ。アビの母親を奪ったのはあたしさ。どんな顔でアビに接すりゃいいってんだい。子供が手に入って嬉しかった。かわいかったさ。抱きしめたかったよ。でもどう接したらいいのかわからなかったんだ」