ファンタジー小説銀の騎士外伝

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この寒さは、シュールとアビが、裏山の護り主であった精霊を、勝手に持ち去った故であると、いつしか噂されるようになっていた。
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おばさんの呟き

-呟き前編-8/18

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この寒さは、シュールとアビが、裏山の護り主であった精霊を、勝手に持ち去った故であると、いつしか噂されるようになっていた。

人間はいつも、何か良くない事が起こった時、責任転嫁する存在を探すものだ。アビはその格好の材料にされたのだと、フレアは思っている。あんなに精霊など信じないと言っていたものが、自分達に都合のいい様に、ころりと考えを変える。いつも何かのせいで自分達が被害を受けていると思い込む。誰かがいつも悪者にならなくてはいけないのだ。

そして悪者にされるのは、その場にいないもの――死んだ者や旅立ったもの、もしくは抵抗出来ない弱いもの――である。

小さな村でそれは当たり前だった。

ブルッと身体を震わせて、フレアは襟元をきつくあわせた。そしてゆっくりと雪を踏み締めて、店に戻っていった。

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