あたしはさ、その時程妹が憎らしかった事はないよ。小さい頃から好き放題やってたあの子には、神様がちゃんと子供を授けてやってさ、平凡な幸せだけを望んで生きて来たあたしからは、取り上げるってんだからね。あんたも不公平だと思うだろ?
何だよ、たまには返事くらいしたらどうだい。にゃーとかなんとかさ」
猫は知らん顔でそっぽを向いている。しかしフレアは気にせずまた言葉をつないだ。
「死んじまえばいいと思った事もあったさ、だけどホントに死んじまうとは思わないじゃないか。あの子は亭主と一緒にあっさりと逝っちまった。可愛い盛りの三才のアビを一人残して……」
ふとカップに手をのばすと、もうお茶はさめきっている。