コーリット城の中に与えられたふかふかのベットの中で、アビは毎夜眠れずに祈ってばかりいた。疲れが頂点に達してやっと眠りにつくと、今度は悪夢が襲い掛かって来る。うなされ続けてハッと眼を覚ますと、いい知れぬ不安が心を鷲掴みにする。
起きていても眠っていても、苦しいのは同じだ。
アビはもう、どちらが夢でどちらが現実なのかさえ、分からなくなっていた。
外気の冷たさに窓は曇っていた。
どんよりとした冷たい夜の空には、星一つ見えなかった。
-懐かしき故郷-
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