風邪をこじらせたのが原因だった。シュールは本当に独りぼっちになった。
そして同じように両親のいない独りぼっちのアビは、いつもシュールが村の外へ出るのをうらやましそうに見送っていた。
「アビ、お前ももう八歳だ。俺が狩りを教えてやるよ。」
シュールはほんの気紛れで、アビを狩りに連れていく事にした。
「ホント!?」
目を輝かせてアビが駆け寄って来る。
本当は一人でいたくなかっただけなのかも知れない。
誰かと一緒にいたかっただけなのかも。独りぼっちだと思いたくなくて。
「おふくろさんの剣、持ってきな。使い方教えてやるよ。」
「うん。」
アビが嬉しそうに走って行く後ろ姿を見て、シュールは満足した。