「シュールはいつでもあたしが預かると言っているのに。」
これがジェシカおばさんの口癖だった。
「ガッシュ。あんたの思慮が足りないばっかりに、シュールは独りぼっちになっちまうんだよ。あんたは頑固者の大馬鹿さ。」
ジェシカおばさんは、また空に向かって話し掛けた。
春の日溜まりを突き破るように、大きな風が吹き抜けた。風はジェシカおばさんの白髪だらけの髪を巻き上げ、辺りの花々を蹴散らした。そして渦をまいて天高く消えた。
その風を追い掛けて、薄桃色の花びらがキラキラ光りながら舞い上がった。薄桃色に見えた花びらは裏側が白で縁取られており、舞い上がる度に光って見えた。