「シュール、父さんの具合はどうだい?」
家から走って飛び出し、そのまままっすぐ村の外へ出ようとしていたシュールに、となりのジェシカおばさんが声をかけた。シュールは立ち止まってきょろきょろと辺りを見回す。そしてやっと、声の主を見つけ白い歯を見せて笑った。
「おはよう、ジェシカおばさん。今日もいい天気だね。」
シュールの笑顔は屈託がない。
「今日は兎のシチューをつくるからね。後で取りにおいで。」
「ありがとう、おばさん。今日光る石がいっぱい取れたらおばさんにもあげるよ。」
シュールはさらさらの髪を揺らしながら走り去った。
家の中で見ると灰色のシュールの髪は、日の光に透けると銀色に輝く。